いつものご飯をおいしくする炊飯術
■米を研ぐ
「お米を研ぐのに、洗剤を入れて洗っていた…」なんて冗談かと思うような話を聞いたことがあります。 確かに最近は研がずに炊ける無洗米や、電子レンジでチンするだけで食べられる真空パックなど、 便利なものがたくさんありますが、やはり手間をかけて愛情を加えて、ご飯を炊きたいものです。
そもそもなぜ米を研ぐのでしょうか?ごはんを炊く前に米を研ぐ目的はというと、 精米したコメの表面についているぬかやゴミを除き、おいしいごはんを炊くことといえます。 お米の研ぎ方ひとつで美味しさがぐんと変わります。 一度ていねいに研いだご飯の美味しさを試してみませんか。
■まずは、正しい計量
1.計量カップの場合は180mlの計量カップにお米を入れ、すり切り1杯を計ります。
2.量りの場合は、米1合は約150gなので、計りで150gを計ります。
必ず正しく計ってくださいね
■研ぐ前に
ボールだけを使っての洗米でも問題はありませんが、入れ替えする場合ザルと両方使うと、入れ替えたりするときに手際よくできます。
その場合、ザルの目の小さいのをご用意してください。
大事な点-1
米は研いでいる間に、たくさんの水を吸水します。まず、ボールに水を溜めて一気に量った米を入れましょう。
軽く2~3度底から混ぜたら、すぐに水を捨ててください (次に研ぐ工程に入るので、水はしっかり切っておくこと!)
米の研ぎ方(手の動かし方)
ほぼ水が切れた状態で、米を研ぎ始めます。『米を研ぐ』といっても、 ボールを握るような手つきで、シャカシャカと10回程度『ボウルの中をかきまわすように』して研ぎます。 力を入れすぎずに、同じ方向にぐるぐるとかき混ぜるわけです。 米が割れるほど力強く研いだり、早く回したりしてはいけません。 合計3回程度の水の入れ替えで、うっすら米が透けて見えるくらいの透明度になるはずです。 この程度の透明度で米の研ぎは終了です。
ポイント1.
手のひらでギュッギュッと力を入れて研ぐと、これは米が割れる原因になります。
最近の米はぬかが少ないためやさしく洗えばOK
ポイント2.
ボウルに水を入れたまま研ぐこと。 水があると米同士の摩擦が起きないので、きちんと研ぐことができないのです
ポイント3.
最近の炊飯器では、内釜を使って研いでも大丈夫です! 「内釜のテフロンがはげるから、内釜では研がない!」という声もたまにききますが、 炊飯器メーカーに聞いたところ最近の炊飯器では問題ないとのことでした。
ポイント4.
水が透明になるまですすぎを繰り返すと、米の栄養やおいしさも必要以上に溶け出てしまいます!
※逆に3回研ぎ汁を入れ替えても濁りが濃いようなら、 追加で1~2回ほど水を取り替える作業を行ってください!
■お米を洗う時は、是非右回りでかき混ぜでください。
陰陽思想で、宇宙のエネルギーが入り美味しくなるそうです。
改良に改良を重ね、年々性能がアップしていく炊飯器。 でも、せっかくいい炊飯器を使っていても、炊くときに無頓着では宝の持ち腐れ。 ちょっとしたコツでおいしさを左右します。違いを実感してみませんか。
1.配線
「ご飯と配線」、一見何の関係もなさそうですが、これが意外と重要。 たこ足配線では「ここぞの時」充分な火力がでません。 ご飯にむらができてしまうことさえあります。ここも美味しさが変わるポイントだったりします。
2.内釜
炊飯器に移してご飯を炊くときに注意したいのが、内釜の外側についた水です。
内釜で米を研いだ場合などは特に、熱のかかる外側が水でベタベタの場合もあります。 これは炊飯器が壊れる・炊きむらができる原因にもなるので、 軽くふき取ってから炊飯器にセットし、スイッチを入れましょう!
大事な点-2
3.水加減
最初に炊飯器の内釜に米を入れましょう。
そして炊く分量の目盛りまで水を加えるのですが、 水平な場所で内釜の目盛りに合わせてお好みで水を入れましょう。
4.お釜にあった炊飯量
お釜の最大炊飯能力の7~8割程度で炊くのがベストです。おいしいごはんを炊くためには、 炊飯能力の最大で炊かないようにいたしましょう。
美味しいごはんは、水の対流が大切です。少なすぎても多すぎても水の対流が うまくいきません。
5.水を考える
「米を炊く」という作業は、加えた水をすべて火を加えながら米に吸わせてやるもの。 材料は米と水だけだからこそ、料理を作るときに調味料にこだわるように、 米だけでなく水にも少し気を使ってあげると、より美味しいごはんが炊けるようになります。
日本の米は日本の軟水がいちばん合います。 外国のミネラルウォーターをわざわざ買う必要はありません。 水道水のカルキを抜くために一度沸騰させて冷ました水などでも、 ちょっとした違いがごはんを美味しくします!
注意・アルカリイオン水でご飯を炊くと、米に含まれているでんぷん粒子の 破壊で炊き上がりのご飯がべたつくことがあり、 色素栄養成分の反応により黄変する事があります。 アルカリイオン水をお使いの時は、アルカリ度の弱い水(pH9以下)をご利用ください。
大事な点-3
6.浸漬
水加減してすぐに炊かないときは、その場合は、 炊飯器にセットしたまま常温で何時間もおいておかない方がいいのです。
米のでんぷんが溶け出して美味しくなくなるし、あまりに時間が長いと菌が増えてくるので。 研いだ米にラップをかけて、釜ごと冷蔵庫に保管しておき、 食べるタイミングに合わせて炊飯器に移し、スイッチONするのがベストです。
水につける時間は、夏場は30分・冬場は1時間以上。
7.浸漬する時間が足りない時の浸漬方法
ぬるま湯で浸漬すると短時間に吸水するので短縮になります。 しかし、時間をかけて浸漬した場合と比較すると味に影響でます。またその場合の注意点
水温は45℃以下を厳守。熱いお湯はダメです。
浸漬水の水温が50℃以上になると米の表面が煮えてしまうので米に十分に 水分が入らず、炊けないとうことになります。水温は45℃以下にします。
8.ザル上げ
ザル上げをするのは、浸漬を終えたお米を用意しておき効率よく炊飯したいという 目的が多いようです。
ザルごと保管する場合は必ずラップやふきんでくるんで米がかわかないようにしましょう。 ザル上げしたお米は時間がたつとお米が割れ始めますので要注意です。ザル上げというよりも 「水切り」と考えてください。
9.「むらし」と「ほぐし」
最近の炊飯器は、米が炊けたら自動的にむらしてくれます。 炊き上がって早速ふたを開けてみましょう。気をつけて見てみると、 ふたの表面には流れ落ちるほどの水滴がびっしり。 この水滴が炊けたごはんに落ちることがあります。 そうなるとその部分だけ水っぽい炊きあがりになるので、 『炊き上がったら蓋や釜の上についた水滴をふき取る』とよいのです。
大事な点-4
炊けたごはんをほぐす
水滴をふき取ったら、しゃもじを使ってご飯をほぐします。 これは絶対に必要な作業です。
ほぐすことで『ごはんの余分な水分が飛び』『釜の中の炊きむらがなくなり、 均一な炊き上がりにしてくれる』のです。釜の中をしゃもじで十字に区切り、 その4箇所を底から上下を入れ替えて、しゃもじで切るようにごはんを潰さないようにほぐします。
10.保温
炊けたご飯は、炊きあがってから2~3時間も保温するとやはりご飯が少し硬くなり、 風味も落ちてしまいます。できるだけ熱を余分にかけないことも大切なので、 保温中は少しでも釜に触れる部分を少なくすることも大切ですので、 保温する場合は『釜の中でこんもりと盛ってから保温する』とよいです。
■おいしいご飯のよそい方
よそうは「装う」と漢字で書きます。茶碗によそう時は、出来るだけご飯を美味しく見えるように心がけましょう。
ご飯粒を潰さないように、シャモジは立てにサッと入れます。
シャモジのヘラを底にして、そのままの状態で、ご飯をすべらせてお椀に入れます。
事前にシャモジを水に浸しておきますと、お椀にいれるときにご飯が滑りやすくなります。
余分なご飯は、熱いうちに一人前づつラップにくるみ冷凍庫に入れると 美味しさがそのまま保存できます。
細かく書きましたが、基本を押さえて後は自分がおいしく炊ける方法を編み出してください。
最大限3つのポイントだけはお願いいたします。
1.正しい計量
2.浸漬 夏場30分・冬場1時間以上
3.蒸らしが終わったら、必ずほぐす
ご飯を楽しんでくださいね。
ごはん道 家元 かじやのぼる