【カレーライスは家の味】

「ラーメンは町の味、カレーライスは家の味」といいます。今回はそのカレーライスをつくることについて少し。

これからカレーを作ろうというとき、頭の中にはもうカレーのイメージができていて、そのイメージに向かって手や足が動いていきます。カレーをまったく知らない人が食材を適当にいじっていたらカレーができてしまった! とはなりません。
ですから、出来上がったカレーは、イメージしていたカレーよりおいしくはなく、かといってまずくもありません。人は、イメージに向かうからです。
でも、「大切な家族が食べるから」と思えば、食材を吟味(ぎんみ)する目が変わります。米を研ぐ手にも力が入り、炊飯器の水加減も慎重になります。思い浮かべるのはおいしそうに食べる家族の顔です。
このように、誰かのためを思うことは、自分の料理のレベルを少し上げます。だから「カレーライスは家の味」なんですね。独り暮らしでも、自分を大事にする気持ち、自分が今こうしてあることへの感謝の気持ちを込めれば、満足のいくカレーができるでしょう。

料理に限らず、良いイメージをいつも持っている人は、それだけで向上します。これを昔の人は「人は誰でも、思ったとおりの人間になる」と言いました。私は年寄りですから、「動きはイマジネーションに牽引(けんいん)される」とでも言っておきましょうか。

(川原藤楽空)