【お粥でおなかいっぱい】

50代の中ごろ、東南アジアのカンボジア王国で何年か暮らしました。ベトナムの西、ラオスとタイの南側に接している、アンコールワット遺跡で有名な国です。あのあたりをインドシナ半島と呼ぶのは、インドとシナ(支那=現在の中華人民共和国)に挟(はさ)まれた半島という意味のようです。現地の日本人からそう教わりました。

カンボジアはお米と仏教と蓮(はず)の花の国です。道ばたでハスの実を売っているのを見て、私の子供のころが懐かしくなり、思わず買って食べた思い出があります。
1年のうち10か月が猛暑日で、雨もよく降りますから、稲作が盛んです。主食は日本と同様に米で、いろんなお米の食べ方があります。お粥(かゆ)や、ココナッツミルクを入れたレッドカレーをかけて食べることもあります。麺も米で作ります。お酒も米の焼酎で、スラーソー(白い酒)といいます。
アンコールワット遺跡がつくられた時代にはすでに、チャイナの料理人がカンボジアにいて、その名残(なごり)なのか、炒めることをカンボジア語で「チャー」、ご飯のことは「バイ」といいます。

私はお粥の専門店によく行きました。大きく分けて白粥と鶏粥の2種類があり、にんにくやモヤシ、ライムなどといっしょに食べるのです。いろんな食べ方があってどれもおいしく、毎日食べても飽きないほどです。
ところで今から半年前に、福岡の大学で学ぶカンボジア人大学生と家族およそ20人が集まる食事会が福岡市内であり、私も誘われて参加しました。そこに出された料理が、カンボジアのお粥、そしてカンボジアのお好み焼きバンチャエウでした。いやぁ懐かしかったですね。おなかいっぱいになりました。

梶谷米穀店の一画(いっかく)に、週に1度、1時間でいいですから、香ばしい香りのカンボジアのお粥を試食できるコーナーがあればいいですね。福岡県にも山口県にも、カンボジア人女性が十数人暮らしていますから、よろこんで協力してくれるでしょう。
(川原藤楽空)