水田は、お米の生産以外に自然環境のために大切なさまざまな役割を果たしています。 優れた機能を発揮する水田のはたらきや効果について、学んでみましょう。
かんがい用水から水田に流れてきた水は、水田に貯えられますが、一部は地下の地下水帯 へしみ出していきます。この間に水の中の枯葉や虫の死骸などのゴミは表面で、飲み水に 不向きな成分は土の中で除かれて、水はきれいになります。特に有害な窒素分は、分解されて 空気中に放出されます。 つまり、水田は天然ろ過フィルターとしてゴミや窒素を取り除いて、私達の飲み水となるきれいな 地下水をつくるはたらきがあるのです。
地下水は、水を含ませたスポンジのような状態で存在します。地盤沈下は、このスボンジの 水が汲み上げられなくなり、スポンジがつぶれてしまう現象で、地下水は私達が生活する地表を 支えていく上でとても大切な存在です。水田はこの地下水を安定させ、一定に保つことにもひと 役買っています。水を貯めることが出来る水田は、地下水や川の水の量を一定に保ちながら、 水を地下へ浸透させているのです。
やまの多い日本の土地は、斜面が多く、川の流れが急で、非常に洪水や土砂崩れが起こりやすい 地形です。土地の表面の土が薄く、としても流失しやすいので、水を貯め、ゆっくり放出させていく ことのできる水田は、治水ダムに似たはたらきをして、洪水を防ぎ、斜面にある水田は土砂崩れの発生 を緩和します。 全国の水田を合計したその貯水量は、44億トン。治水ダムの建設費約1兆9000億円と同じ効果 を発揮しています。
水田は、私達が食糧とする米をつくるために、土地を開墾して人工的につくられたものです。 人間が自然に手を加えると自然のバランスは崩れ、壊してしまうことが多いのですが、水田は、 人工的なものにかかわらず、自然の中へとけ込み、自然と共生している珍しいケースです。 そこには四季折々の風景があり、様々な生物が生活の場として過ごす、水田ならではの豊かな 自然環境があります。